ゆらゆら帝国について、思った事いろいろ

ゆらゆら帝国を知るきっかけになったのは、何歳か年上の親友だった。もう10年近く前の出来事だ。
初めて聴いたのは「砂のお城」だった。それから新譜が出る度に聴いたり、シングルを買い漁ったりした。アナログ盤は高価で、自分の手元にはSweet Spot以降しかないけれど。


3月31日、ゆらゆら帝国が解散した。僕はそれをまた別の友人から聞いた。すぐ先の親友へ電話をした。
彼は随分と驚いていたが、僕と同じような意見で、安心した。
「やりたい事やりきって解散って、かっこよすぎるだろ!」
だから悲しいとか淋しいとかはなくて、むしろ清々しかったくらいだ。


僕の中ではなんとなく、アメリカでのリリースもあったばかりだったし尚更、最も解散しそうにないバンドの一つになっていた。彼らはずっと実験的に、新しい事に常にトライし、それを聴いてまた何度もうなるのだろうと、信じて疑わなかった。
けれど、その考え方は少し楽観的で、バンド側の都合を無視していた。ゆらゆら帝国も3人の人間がやっているバンドだった。


メディアへの露出の少なさ、MCの少なさや、徹底したストイックなライブパフォーマンスなどを見ていると、まるで彼らは超人のようにも思えていたのだけど、決してそうではなかった。毎回毎回、きっと曲を作る度にあれこれ試行錯誤して、数々の名盤は生まれていたのだろうと、今になって改めて思う。


大きくバンドが動いたと思ったのは「Sweet Spot」だった。これまでもそうだったが、歌詞により社会に対するメッセージ性が組み込まれていっているように思った。「しびれ」「めまい」も勿論すごかったけれど、「Sweet Spot」の「ザ・コミュニケーション」を聴いた時の衝撃はとてつもないものだった。


そこから更にシングルを挟んで「空洞です」が発売された。本人達のいうバンドの頂点となるアルバムだ。
結果的にだけど、2008年のRISING SUNでこの「空洞です」の曲も組み込んだステージを観る事が出来たのは、幸運というほかない。真夜中の素晴らしいライブだった。


僕らはゆらゆら帝国の音楽から何を得られたのだろうか。人によって勿論それは違うと思うけど、僕は言葉にしにくいものを沢山もらった気がする。
ゆらゆら帝国の3人は今後も音楽活動を続けていくという。それを楽しみにしつつ、今まで本当にありがとうと言いたい。お疲れさまでした。