CDの高音質処理について

昔、某オークションでそう書いてあるのがはた、と目に留まり、そう値段も高くなかったので買ってみたんです。
当時聴き比べた時もその違いに驚いたけど、この処理でどうして? とずっと思ってたんです。


で、今日久しぶりに聴いてみたら、やっぱり良いんですよ。プラシーボなんかでは決してないです。ヘッドフォンはAKGK240で聴きました。
どう具体的に良いかと聞かれると、「高域が耳に痛くない」「今まで聴こえ辛かった部分が、はっきり聴こえる」という感じです。ちょっと曇りがかかってたのがとれたような・・・。


で、自分の中で結論が出たんです。
きっかけは今話題になっているSHM-CDの仕様でした。SHM-CDは、データをコーティングしている部分により屈折率の低い素材(high material)を用いる事で、CDに刻まれているデータをより正確に読み取る事によって通常のCDよりも高音質を実現しています。これは2枚買って確かめましたし、実際に徐々に普及し始めている事からも、プラシーボなんかではないという事が解ります。


話を戻しますと、通常CDになんらかの処理をして、果たして音質が良くなるのか、という事です。
これについて何件かネットでQ&Aがされているのをみましたが、大抵の回答は「CDから市販時以上の音質を得られる訳がない」「そんな事ができるならメーカーがやっているのでは」「あやしい」というような、否定的な意見でした。
どうも自分が持っているようなCDとは違う方法の「高音質処理」というのが結構あるらしく、そういうのをまとめて「いかがわしい」と判断している方が多いようです。


しかし、自分の今手元にあるCDに関しては、「市販時以上の音質をどうして得ているか」が説明できそうです。
まずこのCDには、裏面(データが刻まれている側)になんというか、幾何学的な薄い線が無数に入っています。しかしただやみくもに線を走らせているという感じではなく、なにかしらの規則性をもってつけられている線(極端な言い方をすれば傷)です。これはコーティング面にしか及んでいないよう。写メで撮ろうと思ったんですが、あまりに薄い傷の上に、CDが光を反射して鏡みたいになってしまうので、画像をのせる事はできませんでした。


それだけ傷のようなものが付いていながら、普通にプレーヤーは読み込みます。音飛びも勿論ありません。
で、自分の中での結論を言ってしまいますと、その明らかな意図を以てつけられた無数の曲線によって、まっさらな状態よりもデータを正確に読み取っているのだろう、という事に落ち着きました。
SHM-CDが素材を代える事で得た効果を、CDのコーティングを意図的に剥ぐ事によって、レーザーの屈折(専門用語では複屈折というらしい)を少なくし、より正確な読み取りをする事によってCDに刻まれているデータのポテンシャルを引き出した、という感じでしょうか。アプローチは違いますが両者の狙いは基本的には同じのような気がします。


結局、上に書いた様な「そんな事できる訳がない」という旨の否定的意見は、レーザーで読みとる事の特性など、物理的な問題を無視した考え方です。物理の問題なんかで「但し、滑車と地面との摩擦は無視する事とする」っていうのがありますが、それと同じです。
確かに理屈では、「工場出荷時のCDをプレーヤーで再生する。それがそのCDの最高の音だ」なんですが、実際には既存のCDとプレーヤーでは、CDに焼き付けられたデータを100%完璧には読み取れていなかった。だからSHM-CDが注目されているんです(出始めた時は絶対流行らないと思っていたけど・・・)。


「でも、CDを普通に買って、普通にプレーヤーで再生するのが普通なんだから、それは好みの問題じゃない?」という意見が聞こえてきそうですが、それも一理あります。CDよりMP3に圧縮された音源の方が好きな人もいるかもしれません。
しかし、「どちらがレコーディング時のマスターに近いか」という観点に立てば、圧縮されたデータよりはCD、CDよりはレコード(ノイズなどの問題は別にして)だと思います。といっても、マスターがアナログであればの話になるんでしょうが。


長々と書きましたが、一応自分の見解はこんなもんです。別に誰かを批判したいとかそういう意図はなく、ただ「高音質処理」と言われているものについて、「もしかしたらこうなんじゃないか」という考えを述べたに過ぎません。自分の中では確信してますが、全然違うかもしれないしね。