Ibanez Tube Screamer「TS5」(画像参照)

エフェクターというのは、なくても別に演奏できるのに、好きな人は足下にポコポコと並べて踏んだり蹴ったりしてしまう、まさに魔法の小箱です。
世に出回っているオーバドライブの相当量が、いわゆるTS系・OD系に二分されているのには、やはり両者の音があまりにも素晴らしいからだと思います。


今回ご紹介するエフェクターは、チューブスクリーマーシリーズの中でも、どちらかというとクセものの類に入るであろう、TS5です。



自分がエフェクターに興味を持ち始めたのがおよそ4年前、人生まだ25年ですから、知らない事だらけです。このエフェクターが発売された当初の事なんかは全く知りません。が、このサウンドタンクシリーズは通称ゴキブリの愛称で親しまれていた(いる)ようです。


プラスティックのボディに、上面にあるインプット、アウトプット、DCジャック。真っ黒な外観。はっきり言ってなんか、まともに鳴る気がしません。
しかし、先入観というのは恐ろしいもので、このTS5は、廉価モデルであるにも関わらず、こいつはこいつでオリジナルな音を出してくれるなんともいえない製品です。


歪み量がまず、歴代チューブスクリーマーシリーズの中では一番多いのではないかと思います(全部弾いた事ないので自信薄)。一番ではないにしても、TS-9や808に比べるとかなり荒いです。
しかし歪みすぎてダメかというと、そこはやはりTSの名を受け継ぐ純血種。きちんと仕事をしてくれます。


惜しむらくは、スイッチ。これは個体差云々の問題ではないと思うのですが、踏むのにちょっとコツがいります。一回踏んだつもりでも、どうも2回踏んだ事になったりして、LEDが一瞬で消灯、なんてこともしばしば。Maxonの01シリーズもそうですが、スイッチがこうだとどうしても本番で使うのには頼りないです。


搭載されているオペアンプはTA75558P。JRCの4558Dに比べて明るくヌケの良いイメージのあるオペアンプなんですが、このTS5の出音に関してはあまりそういう印象はありません。よくも悪くもTube Screamerの音。個人的には好きなんですけどね。



しかし、見れば見るほどにゴキブリ。隠れた名機なんでしょう。
自分は安く買えましたが、近頃また少し高くなってきてますね。とんでもないプレミアが付いてしまう前に手元においておきたいものです。