暇つぶしに妄想。

「だめよジョセフッ!」


大声で叫ぶジョアンナ。ジョセフは彼女の制止を振り切りこめかみに銃口をあてる。


「もう終わりなんだよ、あそこのバーの女に先月分の給料もみんな入れちまった。もう生きていけないんだよ」
「そんなこと言わないでジョセフ・・・お願いだから、ああ・・・」


泣き崩れるジョアンナ。


「お前もすぐに俺のあとについてくればいいさ。そうすれば俺たちはきっとあの世で一緒さ」
「違うの、違うのよジョセフ・・・」
「・・・?なにが違うんだい? もう終わりだよ、俺たちは」
「終わりじゃないわ、始まりなのよ、ジョセフ・・・」
「???」


少し張ったお腹をさすって視線をジョセフに送るジョアンナ。


「お前まさか・・・」
「そうよ、私たちの子よ・・・」
「・・・ほ、本当なのか?」


半信半疑のジョセフ、近づいてジョアンナのお腹に耳をあてる。


「・・・鼓動が聞こえる・・・」
「これからの命よ・・・」


不意に込み上げる涙を拭うジョセフ、拳銃を地面に置き、床に頭を打ち付ける。


「何をやってるんだ俺はっ!」
額から血が出る。
「あんな安っぽい女に20000ドルも貢いだなんてっ・・・!」


「・・・・・・・20000ドル?」


眉をひそめるジョアンナ。


沈黙。


銃声。


完。